死者を浄土へ導くための葬儀が行われた後、続けて故人と親交のあった人たちとのお別れの場である告別式、そして棺に花を敷き入れてふたを閉じるお別れの儀が行われて、火葬場へと出棺されます。
葬儀・告別式の流れと時間の目安
葬儀の開始時間は火葬の時間によって変わってきますが、火葬の時間が12時としたときの時間の目安と一般的な葬儀・告別式から出棺までの流れは以下のようになります。
- 宗派や葬儀の規模によって流れは違ってくることがあります。
葬儀・告別式のタイムスケジュールの例
09:45~ | 遺族・親戚着席 | 遺族と親戚は15分前くらいまでに着席 |
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10:00~ | 僧侶入場・開式の辞 | 僧侶が入場し、司会者が開式の辞を述べる |
読経・引導 | 僧侶が読経をして引導を渡す | |
弔辞・弔電 | 弔辞の後に弔電が紹介される | |
読経・焼香 | 僧侶、喪主、親族、一般会葬者が焼香を行う | |
法話・説教 | 僧侶が法話・説教をする場合がある | |
僧侶退場・閉式の辞 | 僧侶が退場し、司会者が閉式の辞を述べる | |
11:00~ | お別れの儀 | 棺のふたを開けて花を敷き入れる |
出棺・喪主挨拶 | 喪主または遺族代表が挨拶をして火葬場へ向けて出発 |
火葬を先にする「骨葬」
地域によっては先に火葬をして遺骨になった状態で葬儀・告別式を行う「骨葬」のところもあります。骨葬の場合は午前中に火葬をして午後から葬儀・告別式を行うケースが多いようです。
葬儀・告別式前の確認事項
喪主挨拶の準備
出棺の際に喪主または遺族代表による挨拶がありますので文面を考えておきます。
一般的には喪主が挨拶をしますが、喪主が未成年や年老いている場合、または人前で話すことのできる精神状態ではない場合などには、他の遺族が代わりに挨拶を行います。
内容は簡単な自己紹介と、会葬のお礼、生前の厚誼への感謝、今後の支援のお願いなどを簡潔に述べます。
話す内容を紙に書いて準備しておき、紙を見ながら話すようにしてもかまいません。
席次の確認
葬儀の席順は基本的には通夜のときと同じで、祭壇に向かって右側に喪主、遺族、近親者が血縁の濃い順に座ります。
祭壇に向かって左側には、弔辞を読む人が前列に、うしろに一般会葬者が座ります。
その他、葬儀・告別式前の確認事項
弔電を確認し、全文読むものと名前だけ読み上げるものを葬儀屋に伝えておきます。
名前や肩書きなどを読み間違えないよう、仮名をふっておくと良いでしょう。
葬儀・告別式が終わったあとは、火葬場へと行くことになるので、火葬・精進落しなどに関する準備も忘れてはいけません。
マイクロバス、精進落しの料理などの手配をするために、火葬場に同行する人数と食事をする人数をできるだけ正確に確認しておきます。
僧侶にも精進落としに同席してもらえるか確認しておき、同席しない場合には御膳料を渡します。
火葬許可証は葬儀屋が預かっている場合が多いですが、火葬許可証が無いと火葬することができない大切な書類なので確認をしておきましょう。
葬儀・告別式の前は確認事項が多く、すべてのことを把握するのは難しいですが、良い葬儀屋であれば的確にサポートしてくれるはずなので大丈夫です。
葬儀・告別式前のチェック項目
- 喪主挨拶の準備
- 席次の確認
- 弔電の確認
- 火葬場へ同行する人数の確認
- 火葬許可証の確認
葬儀・告別式の流れと進め方
本来、葬儀は遺族や近親者が故人の冥福を祈り、あの世へ送って成仏させるための儀式で、告別式は故人と親交のあった人たちが最後の別れを告げる場です。
それぞれ別の意味を持ったものなので、正式には葬儀が終わると僧侶はいったん退場するなど告別式と分けて行うものですが、最近ではよほど大規模な葬儀でなければ葬儀・告別式を同時に行うことが多くなっています。
喪主・遺族など関係者の着席
喪主をはじめ、遺族、近親者など葬儀に出席する人は、葬儀開始の15分前に着席して僧侶の入場を待ちます。
僧侶の読経・引導を渡す
僧侶が入場して司会者から開式の辞が述べられ、僧侶による読経が始まり「引導」が渡されます。
引導とは死者を仏の道へ導き入れることをいい、引導を渡す作法は宗派によって異なります。
弔辞と弔電の紹介
前もって弔辞を依頼していた人の名前を司会者が呼び上げ、2~3人が順に弔辞を述べます。
弔辞が終わると司会者によって弔電が紹介されます。
全文を読むのは2~3通で、残りは名前だけを読み上げるか、たくさんある場合は「ほかに◯通頂戴しておりますが時間の関係で省略させていただきます」と挨拶して省略することもあります。
喪主・親族・会葬者の焼香
2回目の読経が始まり、僧侶が焼香を行った後、喪主、遺族、親族が順に焼香をしていきます。
司会者が「引き続き告別式に移ります」と挨拶し、一般の会葬者が焼香を行います。
焼香が終わると僧侶は退場し、司会者が終了の挨拶をして告別式が終了となります。
ここで喪主や遺族代表が簡単に会葬のお礼を述べることもありますが、ここでの挨拶を省略して出棺前の挨拶だけにするのが一般的です。
お別れの儀~出棺
告別式が終了すると、棺を祭壇からおろし、ふたを開けて最後の対面をします。
棺に花を敷き入れる「お別れの儀」
葬儀・告別式が終わると、遺族・近親者が最後の対面をする「お別れの儀」が行われます。
遺族・近親者の手で生花を棺の中に敷き入れて故人のまわりを飾ります。
棺を釘打ちの儀で閉じる「釘打ちの儀」
棺のふたを閉めた後、葬儀屋のスタッフによって半分ほど打ち込まれた釘を、遺族・親族が小石でひとり2回づつ軽くたたいて釘を打ち込んでいく「釘打ちの儀」が行われます。
釘打ちの儀は死者が無事に三途の川を渡り、浄土へたどり着くようにとの願いを込めて行われます。
あくまでも儀式なので、力を入れて釘を打ちつける必要はありません。
釘打ちの儀の後に、葬儀屋のスタッフが完全に釘を打ち込んで棺のふたを固定します。
地域や、釘打ちの儀いを行わない宗派や地域もあり、最近では釘打ちの儀はあまり行われなくなってきました。
出棺と喪主(遺族代表)挨拶
釘打ちの儀が終わると、あらかじめお願いしておいた親族や親しい友人など5~6名の男性によって棺を霊柩車まで運びます。
このとき、喪主が位牌を持って先頭に立ち、遺影を持った遺族があとに続き、その後を棺が続きます。
霊柩車に棺を運び終えると、出棺を見送ってくれる会葬者の前に遺族が整列し、喪主または遺族代表が挨拶をします。
喪主挨拶が終わったら遺族は会葬者に深く一礼をします。
火葬場へ向かう車の席順や火葬の流れについては下記ページをご覧ください。