通夜では焼香が終わって僧侶が退場したあとに、喪主が遺族を代表して挨拶をします。
葬儀の流れによっては焼香を終えた人から順に通夜振る舞いの席へ案内されることもありますが、そのような場合は参列者全員が焼香を終えて通夜振る舞いの席に着いたところで挨拶をします。
喪主の挨拶というと、故人との思い出などを語ったり、いろいろと話をしなければならないと思う人もいますが、無理に長く話さなければならないということはなく、伝える必要のあることを抑えていれば簡単な言葉を述べるだけでも大丈夫です。
また、挨拶の例文では難しい言い回しなどが出てくることもよくありますが、無理せず自分なりの言葉で心をこめて感謝の気持ちを伝えることが大切です。
このページでは、通夜での基本となる喪主挨拶の例文をもとに、自分の状況にあった挨拶文の作り方と、喪主挨拶に関するマナーについて解説していきます。
通夜での喪主挨拶の例文
基本的な喪主の挨拶は下記のようなものになります。
【 】内はそれぞれ自分の状況に置き換えて読むようにします。
基本となる例文/喪主挨拶全文
本日はお忙しいなか、【父・◯◯】のためにわざわざ弔問にお越しいただきまして、まことにありがとうございます。
故人に代わりましてお礼申し上げます。(※1)
【父・◯◯】は、【昨日の午後2時30分】に息を引き取りました。
享年【87歳】でした。(※2)
生前のご厚誼(こうぎ)に対しまして深く感謝しております。(※3)
ささやかではございますが、別室にお食事を用意いたしましたので、故人の供養のためにも召し上がっていただきたいと存じます。(※4)
なお、葬儀・告別式は、【明日午前◯時より、当斎場にて】執り行います。
ご参列いただければ、【父】もさぞかし喜ぶことと存じます。
本日はまことにありがとうございました。(※5)
手短に挨拶する場合には上記の例文の【 】内を自分の状況に置き換えるだけでも大丈夫ですが、もう少し感謝の気持ちや故人のエピソードなどを付け加えたい場合は下記を参考に自分なりにアレンジしてみてください。
喪主挨拶の文章構成
喪主挨拶の基本的な文章構成は下記のようなものになります。
- 参列に対してのお礼(※1)
- 故人の死についての報告(※2)
- 故人と親しくしてくれたことへの感謝(※3)
- 通夜振る舞いへのお誘い(※4)
- 葬儀・告別式の案内(※5)
下記で各パーツごとに解説をしていますので、文例を参考に自分の状況にあった挨拶文を作ってみましょう。
参列に対してのお礼(※1)
基本となる例文/参列に対してのお礼
本日はお忙しいなか、【父・◯◯】のためにわざわざ弔問にお越しいただきまして、まことにありがとうございます。
故人に代わりましてお礼申し上げます。
まずは参列者にお礼を述べます。
親しい方々に参列してもらって、きっと故人も喜んでいるということを付け加えてもよいかもしれません。
また、故人と仕事関係である参列者が多い場合など、自分(喪主)と直接知り合いではない人が多い場合には最初に自己紹介を付け加えたほうがよいでしょう。
参列に対してのお礼に付け加える文例
- 生前親しくさせていただきました皆様に温かく見守られ、【父・◯◯】もさぞ喜んでいることと思います。
- 【長男の◯◯】と申します。親族を代表いたしまして、皆様に一言ごあいさつを申しあげます。
故人の死についての報告(※2)
基本の例文/故人の死についての報告
【父・◯◯】は、【昨日の午後2時30分】に息を引き取りました。
享年【87歳】でした。
故人がいつ亡くなったのか、享年何歳だったのかを参列者に報告します。
故人がなぜ亡くなったのかや、最期の様子などを付け加えてもよいでしょう。
ただし、自殺や変死の場合など、死亡状況について話したくない場合は触れなくてもかまいません。
高齢で亡くなった場合には「大往生でした」という表現がよく使われます。
故人の死についての報告の文例
- 【昨日の午後5時30分】、【自宅にて95歳】の生涯を終えましたが、大往生とも言える安らかな最期であったことは何よりの慰めでございます。
故人と親しくしてくれたことへの感謝(※3)
基本の例文/故人と親しくしてくれたことへの感謝
生前のご厚誼(こうぎ)に対しまして深く感謝しております。
参列していただいた方に、故人と親しくしてくれたことへの感謝を述べます。
その他、故人に対する想いや、故人の人柄が偲ばれるようなエピソードがあれば付け加えてもよいでしょう。
通夜振る舞いへのお誘い(※4)
基本の例文/通夜振る舞いへのお誘い
ささやかではございますが、別室にお食事を用意いたしましたので、故人の供養のためにも召し上がっていただきたいと存じます。
通夜振る舞いをする場合には、参加してもらえるようお誘いします。
葬儀・告別式の案内(※5)
基本の例文/葬儀・告別式の案内
なお、葬儀・告別式は、【明日午前◯時より、当斎場にて】執り行います。
ご参列いただければ、【父】もさぞかし喜ぶことと存じます。
本日はまことにありがとうございました。
葬儀・告別式の日時と場所を伝えて、最後に結びの挨拶をします。
喪主挨拶のマナー
喪主として挨拶をしなければならない状況というのはなかなかあるものではなく、ほとんどの人がはじめての経験となります。
喪主挨拶で気をつけなければならないことやマナーについて知っておきましょう。
カンペを見ながらでも大丈夫?
メモを用意して、それを見ながら挨拶をしてもまったく問題ありません。
うまく話そうとするよりも、参列者に対する感謝、通夜振る舞いや葬儀・告別式に関するお知らせをきちんと伝えるということが大切です。
必ず喪主が挨拶しなければならないの?
喪主以外の人が挨拶をしても問題ありません。
例えば父親が亡くなったときに、喪主となった母親が高齢や病気であったり、人前で話すことが苦手な場合など、代わりに長男・長女など喪主以外の人が遺族代表として挨拶することはよくあります。
忌み言葉に注意しましょう
お葬式では使ってはいけない言葉「忌み言葉」があります。
また、宗教による言葉遣いの違いにも注意する必要があります。