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香典でどのくらい葬儀費用をまかなえるの? 香典収入の相場と計算例

お葬式をするときには葬儀費用として大きな出費がありますが、香典による収入があることも忘れてはなりません。

本来、香典には「葬儀費用の負担を助け合う」という意味合いがあり、故人の家族を支えるという役割のあるものなので、参列者から香典としていただいたお金は葬儀費用をまかなうために使うことができます。

当然、参列者の数が多ければ多いほど集まる香典の金額も大きくなっていきますが、参列者の人数によって、どのくらい香典が集まって、どのくらい葬儀費用をまかなえるかというのは気になるところではないでしょうか。

ただし、参列者の人数が多くなると、それにともなって増えてくる支出もあるので、これらの収支を差し引きして考える必要があります。

このページでは、香典収入でいったいどのくらいの葬儀費用をまかなうことができるのかを、計算例をふまえて解説していきます。



香典収入の相場

香典収入と葬儀費用

お葬式で受け取る香典の合計金額は第3回お葬式に関する全国調査」によると平均で「74万円」となっています。

もちろん、大規模なお葬式の場合には集まる香典の金額も多くなりますが、最近では小規模なお葬式も行われることも多くなってきたので、全国平均の金額が分かってもなかなか実際の香典収入をイメージするのは難しいのではないでしょうか。

そこで、より具体的に香典収入についてイメージできるように、参列者が100人の一般葬を行った場合の香典によって入ってくるお金と、参列者の人数によって必要となってくる出ていくお金について計算してみます。

ご自分の状況にあわせて、人数を変えて計算してみてください。

香典収入の事例

下記のようなお葬式をあげた場合の香典収入の例を計算してみます。

お葬式の事例

故人は75歳で亡くなり、お葬式では故人の妻が喪主をつとめることになりました。
故人には2人の息子(50代)がいます。息子は2人とも結婚していて、20代の子ども(故人の孫)が4人います。4人とも家を出ていますが独身です。

故人には兄弟(60代)も2人いて、それぞれ結婚していて40代の子ども(故人の甥・姪)が4人います。甥・姪は4人とも結婚しています。

お葬式には、故人の友人・知人が40人、職場関係の人が10人、遺族の友人・知人が20人、近所の人が10人参列します。
一般会葬者80人のうち半数が通夜に参列し、残り半数が葬儀・告別式に参列します。

参列者は親族20人+一般会葬者80人で合計100人。

親族と一般会葬者の人数

香典収入の総額

今回の例では、香典の金額は下記ページ「香典の金額の相場」を参考にして、それぞれの立場・年代ごとにもっとも多くの人が包んでいる金額で香典をもらったとして計算することにします。

香典の金額の相場

例えば、故人の子(自分の親が亡くなった場合)が50代の場合には、上記ページの表によると10万円を包む人がアンケートの結果でもっとも多かったということなので、香典金額は10万円とします。

親族からの香典

人数 金額/1人 合計金額
故人の子 2(2) 100,000 200,000
故人の孫 4 10,000 40,000
故人の兄弟 2(2) 50,000 100,000
故人の甥・姪 4(4) 20,000 80,000
合計 12(8) 420,000
  • 人数の欄の( )内の数字は同行する配偶者の人数。

喪主は香典をもらう立場なので香典は出しません。

香典は家単位で出すものなので、夫婦で参列する場合には2人でひとつの香典を出します。
孫はすでに家を出て一人暮らしをしているので、各自で香典を用意することになります。

香典の金額の相場」では、40代の甥・姪の香典の相場(おじ・おばが亡くなった場合)は1万円ですが、夫婦で火葬場まで同行する予定なので精進落としが二人分必要になることを考えると1万円では少ないということで2万円を包むことにしました。

合計すると親族からは42万円の香典が集まることになりました。

友人・知人などからの香典

人数 金額/1人 合計金額
故人の友人・知人 40 5,000 200,000
故人の職場関係 10 5,000 50,000
遺族の友人・知人 20 5,000 100,000
近所の人 10 5,000 50,000
合計 80 400,000

友人・知人は80人で、それぞれ5,000円の香典を包んだので合計40万円になりました。

親族の香典は合計42万円だったので、あわせて「82万円」が香典収入の総額になります。

参列者の人数によって変動する支出

上記の例の場合では香典収入の総額は「82万円」となりましたが、忘れてはならないのが人数が多くなればなるほど増えてくる支出もあるということです。

代表的なもので、参列者に配る「会葬礼状」と「会葬返礼品」、通夜に来ていただいた方にふるまう「通夜振る舞い」、火葬のあとに行われる会食の「精進落とし」、香典のお礼として忌明け後に贈る「香典返し」があります。

通夜振る舞い・精進落とし・会葬返礼品

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人気の香典返し

今回の事例の場合では、これらの費用がどのくらいの金額になるのかを見てみましょう。

飲食・御礼の品の費用

人数 単価 合計金額
会葬礼状 100 100 10,000
会葬返礼品 100 500 50,000
通夜振る舞い 42 3,000 126,000
精進落とし 21 3,000 63,000
香典返し:一般会葬者 80 2,000 160,000
香典返し:親族/1万円 4 3,000 12,000
香典返し:親族/2万円 4 6,000 24,000
香典返し:親族/5万円 2 15,000 30,000
香典返し:親族/10万円 2 30,000 60,000
合計 535,000

会葬礼状は清め塩の付いた1枚100円のものにしました。
本来であれば参列する予想人数より多めに用意しておきますが、今回は計算しやすいように100枚としておきます。

会葬返礼品は香典ひとつに対して品物ひとつを渡す場合と、参列者ひとりに対してひとつ渡す場合がありますが、今回は参列者ひとりひとり(全員)に渡すこととして計算します。

通夜振る舞いは通夜に参列する人数(60名)の70%(42名分)を用意しました。

精進落としは3,000円のお膳を喪主と親族の人数分(21名分)用意し、僧侶の分は御膳料としてお布施で渡すことにしました。

お布施

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香典返しは頂いた香典金額の3割返しで、忌明けに贈ることにしました。

人気の香典返し

この結果、飲食代と御礼の品の費用は合計「53万5千円」になりました。

葬儀費用をまかなうことのできる金額

今回の例では、香典収入が「82万円」で飲食・御礼の品の費用が「53万5千円」となったので、差し引いた金額「28万5千円」を葬儀費用にあてることができそうです。

どうでしょう? 思ったより多かったでしょうか、それとも少なかったでしょうか。

それでは、もう少し細かく見てみようと思います。
飲食・御礼の品の費用「53万5千円」のうち、親族を除いた一般の会葬者のみにかかる費用はどのくらいなのかを計算してみます。

一般の会葬者にかかる費用

人数 単価 合計金額
会葬礼状 80 100 8,000
会葬返礼品 80 500 40,000
通夜振る舞い 28 3,000 84,000
香典返し:一般会葬者 80 2,000 160,000
合計 292,000

会葬礼状、会葬返礼品は一般会葬者の人数の80個、通夜振る舞いは通夜に参列する一般会葬者の人数40人の70%で28名分、香典返しは2,000円の品物が80名分になります。

合計すると「29万2千円」なので、一般会葬者の香典の合計金額「40万円」から差し引くと「10万8千円」が一般会葬者の香典のみで考えた場合の葬儀費用にあてることのできる金額ということになります。

ということは、一般会葬者1人あたりで計算すると

108,000(円) ÷ 80(人) = 1,350(円)

となり、一般会葬者が1人増えるごとに葬儀費用にあてることのできる金額が1,350円増えるということになります。

もし、一般会葬者が10人増えて90人になった場合は、葬儀費用にあてることのできる金額が13,500円増えるということですね。

料理や品物のグレードを上げた場合

それでは次に、料理や返礼品などのグレードを上げた場合の金額を見てみます。

以下の内容に変更をして計算してみました。

  • 会葬返礼品 … 500円 → 1,000円
  • 通夜振る舞い … 3,000円 → 4,000円
  • 精進落とし … 3,000円 → 5,000円
  • 香典返し … 3割返し(30%) → 半返し(50%)

飲食・御礼の品の費用

人数 単価 合計金額
会葬礼状 100 100 10,000
会葬返礼品 100 1,000 100,000
通夜振る舞い 42 4,000 168,000
精進落とし 21 5,000 105,000
香典返し:一般会葬者 80 2,500 200,000
香典返し:親族/1万円 4 5,000 20,000
香典返し:親族/2万円 4 10,000 40,000
香典返し:親族/5万円 2 25,000 50,000
香典返し:親族/10万円 2 50,000 100,000
合計 793,000

合計金額は「79万3千円」となりました。

香典収入の総額が「82万円」なので、この場合は香典収入のほとんどを飲食・御礼の品に使うことになります。

続いて、この場合の一般会葬者にかかる費用について計算してみます。

一般の会葬者にかかる費用

人数 単価 合計金額
会葬礼状 80 100 8,000
会葬返礼品 80 1,000 80,000
通夜振る舞い 28 4,000 112,000
香典返し:一般会葬者 80 2,500 200,000
合計 400,000

通夜振る舞いは通夜に来る一般会葬者の人数40名の70%で28名分として計算しています。

合計は「40万円」となり、一般会葬者からの香典収入「40万円」を使い切ってしまうかたちになりました。

この状況では人数が多くなったとしてもプラスになることはありません。
逆に、人数が増えたことによって広い式場に変更しなければならなくなる可能性も考えると、赤字になってしまうことも考えられます。

香典で葬儀費用をまかなうのは難しい

こうして見ると、香典収入によって葬儀費用の大半をまかなうことを期待するのはかなり難しいところですが、やりようによってはある程度の金額を葬儀費用にあてることもできそうです。

豪華な料理や御礼の品で弔問客をもてなしたいと思うと、香典収入のほとんどを使い切ってしまうことも場合によってはありそうでし、あまり見栄をはらずに料理や御礼の品を少し低めの金額に抑えることができれば、葬儀費用の数割くらいをまかなえる金額を残すことはできそうです。

しかし、香典に包まれる金額や、そのお礼に関係すること、ふるまわれる食事については地域による慣習の違いが大きくあります。
地域によっては香典返しは半返しがあたりまえというところも多くありますし、通夜振る舞いも親族のみで食事をするところと参列者にも振る舞うところがあります。

あまり香典のお金を葬儀費用にあてることを期待せずに、「参列者の数が多い場合でも、香典収入によってその人数分にかかる費用をまかなえる」くらいで考えておいたほうが良いのかもしれません。

まずは信頼できる葬儀屋を見つけること

今回の事例で算出された金額はあくまでも香典収入の例です。
実際には、一般参列者のなかには香典に3,000円を包む人もいますが、一定の割合で1万円以上包んでくれたりする人もいます。

また何度も言うように、香典に関係することや食事については地域による慣習の違いも大きく関係してくるので、必ずしも今回のような結果に近い金額になるとは限りません。

まずは、地域の事情に詳しい信頼できる葬儀屋を見つけることが、良いお葬式をするうえでもっとも大切なことです。


次回は、見積もりを比較して信頼できる葬儀屋を見つける方法です。

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