いざ、お葬式をあげるとなったときに気になるのが、どのくらいのお金がかかるのかということではないでしょうか。
一般的に、お葬式には車1台を購入するくらいのお金が必要と言われています。
しかし、葬儀費用は人によって大きな幅があり、葬儀の規模や内容、地域による慣習の違いなど様々な要因によって金額に違いがでてきます。
葬儀が終わった後に葬儀費用についての不満を感じる人や葬儀内容について後悔する人が多くいますが、これは高額な出費にもかかわらず死亡してからすぐに葬儀屋を決めなければならないという特殊性のために葬儀屋に勧められるまま高額な葬儀プランを選択してしまう人が多いということや、追加費用という形で見積もり時より高い金額が請求されることがある、というようなことが原因と考えられます。
納得できるお葬式をするために大切なことは、希望する内容のお葬式を適正な価格で行うことのできる葬儀屋を選ぶことです。
葬儀費用の相場と基本的な仕組みを知っておくことで、お葬式が終わってから「こんなはずじゃなかったのに・・・」「違う葬儀屋を選べば良かった…」という事態を避けることができます。
今回から【葬儀費用ガイド】として6ページに分けてお葬式にかかる費用について解説していきます。
記事の最後には葬儀費用ガイドのページ一覧があるので必要なところを読み進めてください。
お急ぎの方は最終ページの「【葬儀費用ガイド⑥】見積もりで葬儀費用を比較する」をご覧いただければ葬儀費用で後悔しないための最低限の知識を得られます。
今回は葬儀費用ガイドの第1回として、各地域ごとの葬儀費用の相場や、お葬式ではどんなことにお金がかかるのか、葬儀費用の金額の違いは何によって決まってくるのかということについて解説していきます。
葬儀費用の相場
日本消費者協会が発表している「葬儀についてのアンケート調査」の結果によると、葬儀そのものにかかる「葬儀費用一式」が122.2万円、通夜振る舞いや精進落としなどの「飲食接待費」が44.6万円、読経料や戒名料などの「寺院への費用」が33.9万円、そして「葬儀費用の合計」の金額が188.9万円となっています。
- 葬儀費用一式、飲食接待費、寺院への費用についてはこのページの後半「葬儀費用の内訳」で詳しく解説します。
地域別の葬儀費用の相場
それでは、「葬儀一式費用」「飲食接待費」「寺院への費用」はそれぞれ、各地域でどのくらいの相場になっているかを見ていきましょう。
各地域の葬儀費用の相場は以下のようになっています。
【地域別】葬儀費用の相場一覧
2003年 | 2007年 | 2010年 | 2014年 | |
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北海道 |
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東北 |
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関東A |
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関東B |
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中部A |
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中部B |
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近畿 |
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中国 |
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四国 |
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九州・沖縄 |
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全国平均 |
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- イ・・・葬儀費用一式の平均額。
- ロ・・・飲食接待費の平均額。
- ハ・・・寺院への費用の平均額。
- 計・・・葬儀費用の合計の平均額。イ・ロ・ハの各項目は回答を得られた人の平均額のため、各項目の合計金額と一致はしません。
- 関東A・・・茨城・栃木・群馬・千葉
- 関東B・・・埼玉・東京・神奈川
- 中部A・・・新潟・富山・石川・福井
- 中部B・・・山梨・長野・岐阜・静岡・愛知
過去の全国平均の金額を見てみると、2003年では230万円を超えていた葬儀費用の合計が、2010年からは200万円を切るようになっており、年々お葬式にかかる費用は減ってきていることが分かります。
ここに注意!
調査結果を参考にするうえでの注意すること
上記の日本消費者協会が行ったアンケート調査による結果を参考にするうえで注意する点があります。
ひとつは、この調査での調査対象人数はあまり多くはなく、地域によっては10人程度の回答しか得られなかった年もあり、平均額を出すにはじゅうぶんな数の集計ではないということです。
もうひとつは、金額が平均額で算出しているために高額な葬儀費用を支払っている人がいると平均額が釣り上がってしまうということです。
祭壇などは材質や大きさなどによってはかなり高額なものや、お寺に支払う戒名料もランクの高いものでは100万円を超える場合もあります。
このように高額なお葬式をあげている人がいる場合、平均額は多くの人が払っている一般的な葬儀費用よりも高い金額で算出されてしまいます。
たとえば、2003年の中部B(山梨・長野・岐阜・静岡・愛知)での調査結果では、葬儀費用の合計が378.9万円となっており、他の地域や中部Bの他の年の調査金額より突出して高い金額になっていますが、これはこの年の中部Bでの調査対象者の中に豪華な葬儀や高額なお布施を支払った人がいたのではと推測されます。
自分の地域の葬儀費用の相場を見る際には、数値だけをうのみにせずに他の年の調査結果なども考慮して参考にしてください。
葬儀費用の内訳
それでは、葬儀費用の内訳についてもうすこし詳しく見ていきましょう。
葬儀費用について理解するうえで、どのようなものにお金がかかっているのかを知っておくことが重要です。
ひとくちに葬儀費用と言っても、お葬式の内容や、参列者の人数、つけてもらう戒名のランクなど、様々な要因によって金額は大きく変わってきます。
お葬式の費用の内訳
お葬式で必要な費用は大きく分けると「葬儀一式費用」「飲食接待費」「寺院への費用」の3つに分類することができます。
葬儀一式費用
祭壇・棺・枕飾り・白木位牌などお葬式で必要なものにかかる費用や、式場使用料、遺体の搬送、納棺や通夜・葬儀の司会進行など葬儀屋によるサービス関係の費用が含まれます。
一般的には、多くの葬儀屋で用意しているセット料金の金額が葬儀一式費用の基本的な金額にあたります。
祭壇や棺を豪華なものにしたり、選んだ葬儀プランの内容によって金額が変わってきます。
飲食接待費
おもに、通夜の後の「通夜振る舞い」と火葬の後の「精進落とし」で振る舞われる飲食費と、お葬式に参列していただいた方にお礼の品として渡す「会葬返礼品」の金額になります。
飲食接待費の金額は人数によって変動するので、規模の大きなお葬式ほど金額は高くなります。
食事は自分で飲食店に手配することも可能ですが、多くの場合は葬儀屋に手配を依頼します。
葬儀屋に手配を依頼した場合には葬儀屋経由で料金が支払われることになるので、葬儀屋に支払う金額は葬儀費用一式と飲食接待費を合わせた金額ということになり、葬儀屋に見積もりを依頼したときには、通常はこの金額が提示されることになります。
寺院への費用
葬儀屋に支払う金額とは別に、お布施としてお寺に支払うお金になります。
お経を読んでもらったことに対するお礼の読経料と、戒名をつけてもらったことに対するお礼の戒名料のほか、お車代や御膳料の金額が含まれます。
お布施の金額は地域による違いや、宗派やお寺、つけてもらった戒名のランクなどによっても大きく違ってきます。
ほとんどの場合、葬儀屋の出す見積もりには「寺院への費用」は含まれていないので注意が必要です。
以上がお葬式で必要になる主な費用ですが、このほかにも以下のような出費があることについても覚えておきましょう。
その他の費用
喪服を持っていない家族がいる場合、購入またはレンタルで用意する必要があります。
また、遠方から来る親戚の交通費、宿泊費、食事代等は意外と大きな出費になります。
霊柩車などの運転手や火葬場の係員への心づけ(葬儀屋によっては見積もりに入っている場合もあります)が必要になってくる場合もあります。
葬儀の後で必要になってくるものですが、四十九日の忌明け後に贈る香典返しの費用についても頭においておく必要があります。
葬儀費用の金額を決める大きな要因
各地域の葬儀費用の相場は前述の「葬儀費用の相場一覧」の表に書いたとおりですが、たとえ同じ地域でも様々な要因によって葬儀費用は人それぞれ違ったものになってきます。
葬儀費用は主に以下の内容によって金額が大きく違ってきます。
- 葬儀の形式
- 祭壇・棺の豪華さ
- 参列者の人数
- 式場・火葬場をどこにするか
- 戒名の位の高さ
葬儀の形式
葬儀の形式には「一般葬」「家族葬」「一日葬」「火葬式(直葬)」などがあります。
「一般葬」「家族葬」は葬儀の規模の違いで、家族葬は一般葬より規模の小さなお葬式になります。
また、「一日葬」「火葬式(直葬)」は通常のお葬式で行われる儀式を省略したものになるので、葬儀にかかる費用を安くすることができます。
どの形式を選ぶかによって「葬儀一式費用」の基本となる金額が決まります。
祭壇・棺の豪華さ
「葬儀一式費用」の中でもかなりの割合を占めているのが祭壇・棺の費用です。
いくつかのグレードが用意されており、豪華なものを選ぶほど高額になります。
祭壇・棺の金額はそれぞれの葬儀屋が独自に決めており、葬儀屋によってはスタッフの人件費などもこの中に含まれますが、別にしている葬儀屋もあるのでなかなか比較がしづらい費用でもあります。
参列者の人数
参列者の人数によって「飲食接待費」が大きく変わってきます。
予想していた人数より多くの参列者が来た場合には、追加費用が発生することになります。
式場・火葬場をどこにするか
式場・火葬場には公営・民営があり、どこを選ぶかによって金額が大きく違ってきます。
公営の火葬場では地域によっては無料で利用できるところもあり、式場も民営に比べて公営の方が圧倒的に安く利用することができます。
当然、公営のほうが人気があるので混雑状況によっては1週間先まで予約が埋まっているということもあります。
戒名の位の高さ
仏式のお葬式で必要になってくるのが、お坊さんにつけてもらう戒名です。
戒名には位(ランク)があり、一般的なものだと10万円~ほどですが、位の高いものをつけてもらうと100万円を超えるお布施が必要になってくることもあります。
自分の地域の葬儀費用の相場、お葬式ではどんなことにお金が必要になって、どんなことで金額が違ってくるのか理解できたでしょうか?
今回、葬儀費用の内訳で解説した「葬儀一式費用」「飲食接待費」「寺院への費用」のうち、もっとも大きな金額になるのが葬儀一式費用です。
葬儀一式費用は、葬儀屋が用意しているいくつかの「葬儀プラン」から希望のものを選ぶことで金額が決まってきます。
次回は、葬儀プランの種類と選び方について解説していきます。